好きになった人がたまたま皇室の方 礼宮さまとご婚約の紀子さん淡々と

 教職員住宅の4階にある3LDK(約70平方メートル)の川嶋さん宅。喜びの声を聞こうと約40人の報道陣が待機したが、紀子さんは一歩も自宅を出ず、中の様子はうかがえない。

 紀子さんの周辺の話によると、この日の紀子さんは、「こんな騒ぎになるとは思ってもいなかった」と初めは驚きを隠さなかった。しかし、「いつかはわかることだから」とも語り、周囲の騒がしさはあまり気にならない様子。日ごろ紀子さんは、親しい友人らに「たまたま好きになった相手が皇室の方だっただけ」と言い、結婚して皇室に入ることについては「気負いも不安もないわ」と話していた。26日も淡々とした口ぶりで、とくにふだんと変わったところは見られなかったという。

 紀子さんあてには押し花電報も届けられたが、この日、川嶋宅に入ったのは、地元の呉服店の店員2人と、臨時電話の架設に訪れたNTTの職員だけ。夜になって報道陣のチャイムに、弟の舟(しゅう)さん(16)がドア越しに応対した。しかし、写真撮影の申し込みに、「お気持ちに沿えないことをお許し下さい」と丁重な断りの答えが返ってくるばかりだった。

 一方、学習院初等科時代の同級生と奥多摩に登った礼宮さまは、道々、ご婚約を伝えるラジオ・ニュースを聞かれたりしていたが、午後から雨が強まり、予定を早めて午後2時ごろには宿泊先の三頭山荘へ。6時ごろから、大広間で山菜料理の夕食をとられた。

 その際、山荘の女性経営者が料理の説明にうかがい「おめでとうございます」と声を掛けると、礼宮さまは照れたように「ちょっと発表が早かったね」と笑われたという。

(1989年8月27日  読売新聞)

引用元 http://www.yomiuri.co.jp/feature/impr/0609article/fe_im_89082701.htm



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