平成フレッシュ・カップル、なれそめはサークル

 お相手は英語、ドイツ語が得意な国際派で、スポーツ万能の同窓生−−。礼宮さま(23)の意中の人、川嶋紀子さん(22)はさわやかな人柄で知られ、愛称「キコちゃん」。礼宮さまは留学先の英国からも、国際電話で互いに愛を確かめ合ってこられた。4年越しの交際が実って固まったご婚約。まだ正式発表前で、礼宮さまも、川嶋家も26日朝、「ノーコメント」を繰り返したが、奥多摩へハイキングにお出かけになった礼宮さまはやや照れ気味の笑みを浮かべ、学友の中からは早くも祝福の声が上がっていた。

 礼宮さまが紀子さんと知り合われた「自然文化研究会」は、昭和61年4月、東大や慶応、上智など他大学からもメンバーを集めて作られた。会員は37人で、礼宮さまの学友のほか、学友の紹介で知り合った友人らも含まれ、高橋新太郎学習院女子短大教授ら6人が顧問を務めている。

 このサークルの中で、紀子さんは会計係として、調査旅行の費用を集めたり宿を手配したり、屈託のない笑顔でかいがいしく動き回った。礼宮さまは、そんな紀子さんが気に入られた様子で、初めのころ、遠慮して遠くにいる紀子さんに「こっちにおいで」と声をかけられたこともあったという。

 調査旅行の時、礼宮さまはタイの「メコン」というウイスキーを半ダースほどいつも持って行き、夜は2時、3時まで仲間と歓談された。高校時代に第二外国語に中国語を選んだ紀子さんと同様、礼宮さまの大学での第二外国語も中国語。宿での語らいは中国文学の話や、お好きなナマズ類など生物学の話題が多く、そんな時、あまり飲まない紀子さんは、いつも氷入れのそばにいて、水割りを作っては宮さまやメンバーに手渡していたという。

 こうした先輩・後輩の付き合いが、いつしか好意から愛情に変わっていったようだ。もっとも礼宮さまは会の集まりでは紀子さんととくに親しくされることはなく、他のメンバーと同じように接しておられた。このため、お2人のお付き合いに気がつかないメンバーも多かった。

 しかし、葉山の御用邸に行かれた際には、何人かの親しい友人をお呼びになることがあり、紀子さんもその1人だった。ある学友は、「殿下が紀子さんにとても好意を持っておられたのは事実で、3年の終わりころ、鎌倉で2人で会っていた、という話を聞きました。ごく親しい仲間内では結婚を否定する者はおらず、週刊誌にお2人のことが出た時には、『とうとうわかっちゃったか』と思いました」と言う。

 礼宮さまが英国に留学されてから、お2人の交際は国際電話が中心だったが、お互いの近況を語り合う中で、礼宮さまが得意なギターを2人で合奏しようと持ちかけられることもあった。

 イギリスと日本と、遠く離れていることが、お2人のきずなを一層強めたのだろう。最近の礼宮さまは、紀子さんと一刻も早く結婚したいというお気持ちを、周囲にも隠さず吐露されていたという。

(1989年8月26日  読売新聞)

引用元http://www.yomiuri.co.jp/feature/impr/0609article/fe_im_89082604.htm


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