礼宮さまの宮号となった奈良県「秋篠」、大和路新たなフィーバー?

 ◆秋篠寺には有名な重文・伎芸天像

 礼宮さまの新宮号が奈良市の「秋篠の里」にちなんだ「秋篠宮(あきしののみや)」に決まり、同市秋篠町など地元は、「郷土の誇りが一つ増えた」と喜びにわいた。地元の秋篠寺には、有名な天女像、伎芸天(ぎげいてん、国の重要文化財)があり、「優雅で気高く、紀子さまに似ている」との声もあり、ふだん静かな大和路は、しばらく“秋篠フィーバー”となりそうだ。

 秋篠の里は、奈良市北西部の丘陵地で、最近は新興住宅地化したが、まだ田園風景も残っている。特に秋篠寺の一角は緑豊かで、昔ながらの静かなたたずまい。本堂が国宝に指定されている同寺は、光仁(708―781)、桓武(738―806)両天皇の勅願で創建された奈良時代最後の官寺といわれる。

 とくに同寺の伎芸天像は、数多い大和路の仏像の中でも常に人気上位にあげられる傑作。天平期の作で、わずかに口を開いて慈愛に満ちた笑みをたたえる表情にファンが多い。

 この地を詠んだ歌も多く、新古今和歌集に西行法師の「あきしのや 外山のさとや時雨るらん 生駒のたけに 雲のかかれる」、玉葉和歌集にも藤原実俊の「朝日さす いこまのたけは あらはれて きりたちこむるあきしのの郷」などの秀歌がみられる。最近では、歌人川田順(故人)が伎芸天像を「寧楽(なら=奈良)へいざ 伎芸天女のおん目見に ながめあこがれ 生き死なんかも」と詠んだ。

 秋篠川に沿って、平城京跡や、薬師寺、唐招提寺、西大寺などの古刹(こさつ)も点在し、これまで皇太子さま、常陸宮さま、三笠宮ご夫妻など皇族方もこの地を訪問されている。

(1990年6月29日  読売新聞)

引用元 http://www.yomiuri.co.jp/feature/impr/0609article/fe_im_90062907.htm



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