礼宮、紀子さま結婚の儀 皇居内で古式ゆかしく

 天皇家の二男、礼宮文仁(ふみひと)親王殿下(24)と学習院大教授川嶋辰彦氏の長女で同大大学院生、紀子さま(23)の「結婚の儀」が、29日午前10時すぎから皇居・宮中三殿の賢所(かしこどころ)で古式ゆかしく行われた。天皇家のお子さまのご結婚は常陸宮さま以来26年ぶり。式後、礼宮さまは「秋篠宮(あきしののみや)」の宮号を贈られ、新宮家を創立された。秋篠宮家の誕生で、八宮家となる。

 「結婚の儀」には慣習で両陛下のご参列はなかったが、賢所の左右の幄舎(あくしゃ)にはモーニング姿の皇太子さまや、紀宮さまはじめ皇族方、海部首相ら三権の長、それにタイのシリントン王女や川嶋家親族など154人が並んだ。垂纓(すいえい)の冠に黒の束帯姿の礼宮さまと、大垂髪(おおすべらかし)に十二単(じゅうにひとえ)をまとった紀子さまは午前10時8分、それぞれ小出英忠掌典次長と園池美作掌典の先導で、東側の回廊を渡って賢所の外陣(げじん)に入られ正座。

 向かって右の座に礼宮さま、左に紀子さま。まず礼宮さまが手にした笏(しゃく)を顔の高さに掲げて立ち上がったあと再び座り、腰を90度に曲げて拝礼する「起拝」を2度繰り返され、桧扇(ひおうぎ)を手にした紀子さまも、それに合わせ正座のままひれ伏された。

 続いて、礼宮さまがふところから墨書きの告文(こくぶん)を取り出し、「これから相むつみ、相親しみ、永遠に変わらないことをお誓い申し上げます」という趣旨のことを大和言葉で読み上げられた。それが終わると、瓶子(へいじ=とっくり)に入った神酒が、東園基文掌典長の手で礼宮さまの白素焼きの杯に注がれた。礼宮さまが飲みほされたあと、紀子さまも別の杯で神酒をほされ、そろって神前に深々と頭を下げてご結婚が成立。お2人が小出掌典次長の先導で東回廊から退出され、「結婚の儀」は11分で終了した。

 このあと参列者を代表して皇太子さまが賢所の石段上でご拝礼。ほかの参列者も一礼し、退出した。

 賢所は天照大神をまつっており、「結婚の儀」を終えた礼宮さまと紀子さまは、10時50分から、両隣にある皇室のご先祖をまつった皇霊殿と神々をまつった神殿にも拝礼をされた。

 この日の「結婚の儀」は皇室の公的行事として催された。ご結婚費用は赤坂御用地内の宮邸改修費、付属事務棟建設費などを含めて1億6500万円。

 礼宮さまと親王妃となられた紀子さまは、午後3時から宮殿で、天皇、皇后両陛下に結婚後初めて対面する「朝見の儀」に臨まれる。

(1990年6月29日  読売新聞)

引用元 http://www.yomiuri.co.jp/feature/impr/0609article/fe_im_90062904.htm



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