朝見の儀 「むつまじく社会のお役に」 天皇陛下、秋篠宮ご夫妻に

 皇居・賢所(かしこどころ)で「結婚の儀」を挙げた秋篠宮ご夫妻は、29日午後3時から宮殿・松の間で行われた「朝見の儀」で結婚後初めて天皇、皇后両陛下に対面、親子固めの杯を交わされた。ご夫妻は夕刻、赤坂御用地内の宮邸に車で戻られ、沿道では約3万人がお2人の門出を祝福した。

 「礼宮」の称号から、宮家創立で宮号を名乗ることになった秋篠宮さまは、「朝見の儀」ではエンビ服に大勲位菊花大綬章。紀子さまは白いローブデコルテにティアラで髪を飾り、贈られたばかりの勲1等宝冠章をつけて臨まれた。

 「松の間」に入ったご夫妻はまず、大勲位菊花章頚飾(けいしょく)などをつけた天皇陛下の前に進み、秋篠宮さまが「本日は結婚式を挙げさせていただき、誠にありがとう存じました。これからは、2人して皇族としての責務を果たしていく所存でございます」とごあいさつ。これに対し陛下は「今後はむつまじく、互いに心を合わせて新宮家を営み、国や社会のために、また人々のために尽くされるよう希望します」と述べられた。続いて皇后さまの前でも、秋篠宮さまが謝辞を述べ、皇后さまは「秋篠宮家の幾久しいみ栄えを祈ります」と祝福された。

 このあと、ご夫妻は両陛下に向かって右側の「わき座」に着席。今度はお1人ずつ進み出て、黒豆を酒で煮た「9年酒」の杯を両陛下と交わされた。そして両陛下に倣ってテーブル(御台盤=おだいばん)上のウニかまぼこ、塩ゆでエビなど6品の古式料理にはしを立てるしぐさをされ、20分余で儀式を終えた。

 宮殿ではさらに、両陛下やご夫妻に対する三権の長などの祝賀があり、ご夫妻は陛下差し回しの「ニッサン・ロイヤル」で、車列を組んで宮殿をご出発。午後4時47分、ようやく新居の宮邸に落ち着かれた。帰邸後も「供膳(くぜん)の儀」「三箇夜餅(みかよのもち)の儀」など、皇室独特の婚姻儀式が夜遅くまで続いた。

(1990年6月30日  読売新聞)

引用元 http://www.yomiuri.co.jp/feature/impr/0609article/fe_im_90063001.htm



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